2024年10月10日(木)

【イベントレポート】 「クリエイティブを活用した成功事例から学ぶ! ~中小企業のブランディング戦略~」!

【イベントレポート】

「クリエイティブを活用した成功事例から学ぶ! ~中小企業のブランディング戦略~」

2024年10月10日(木)、淳風bizQビジネスセミナーとして「クリエイティブを活用した成功事例から学ぶ! ~中小企業のブランディング戦略~」を開催しました。
中小企業ならではのクリエイティブ活用の成功事例を学び、自社の課題解決のヒントを得ていただくことを目的としたイベントで、当日は様々な分野から24名の方にご参加いただきました。

 

イベント会場は、淳風bizQの「1年い組」教室に入居するearthcampus株式会社のオフィスです。

“人の五感を研ぎ澄まし、コミュニティが自然と生まれる空間に”という思いで作られた白いオフィスに入られた参加者からは、驚きの声があがりました。

 

今回は、
earthcampus株式会社 代表取締役 佐藤 涼介 氏

株式会社大西常商店 代表取締役 大西 里枝 氏

株式会社ツクリエ 代表取締役 鈴木 英樹 氏

の3名をお招きし、自社におけるクリエイティブを活用した実践事例をお話しいただきました。

後半は双方向のコミュニケーションツールを用いて、
参加者から寄せられた課題やお悩みをリアルタイムで取り上げ、
解決のヒントを提供するインタラクティブセッションを行いました。

 

〈登壇者〉

佐藤 涼介 氏/earthcampus株式会社 代表取締役

UXデザイナー。大学卒業後、ビジネスコンサルティング会社を設立。中小企業の経営や金融戦略に携わってきたが、次第に理論よりも「デザインが全てを凌駕する」という考えを抱き始め、2017年に会社を売却。その後earthcampus株式会社を設立し、現在はUXデザインを基盤にエンドユーザーの感動体験を重視したクリエイティブ戦略を提供している。学生時代にサッカー選手を目指していたことから業界に縁があり、2022年以降はJリーグ「愛媛FC」のクリエイティブディレクターとして活躍。人気サッカー漫画『アオアシ』の作家・小林有吾氏から高い評価を得ている。
https://earthcampus.co.jp/

 

大西 里枝 氏/株式会社大西常商店 代表取締役


1990年京都市生まれ。大正2年創業の扇子メーカー「大西常商店」代表取締役社長。立命館大学を卒業後、NTT西日本に入社。2016年に家業へUターン転職。扇子の素材と特性を生かした新商品開発および営業業務に従事。京ものユースコンペティショングランプリ受賞、文化ベンチャーコンペティション京都府知事優秀賞受賞。WEBメディア「きものと」にて、京都くらしを発信する「#京都ガチ勢、大西さん家の一年」を連載中。
https://www.ohnishitune.com/

鈴木 英樹 氏/株式会社ツクリエ 代表取締役

  

商社、コンサルティング会社を経て、2002年に大阪市の起業支援施設に勤務、以後インキュベーション業務に携わる。2006年テクノロジーシードインキュベーション(株)(TSI)入社、2009年TSI取締役、2015年(株)ツクリエ設立、代表取締役就任(現任)。ファンド運営、投資育成、起業施設運営を多数手がけるとともに、自らもベンチャー立ち上げと経営を複数経験。
https://tsucrea.com/

 

進行:空中佐知(株式会社ツクリエ/淳風bizQ コミュニティマネージャー )

 

それぞれのクリエイティブ

まずは登壇者の3名から、自社におけるクリエイティブ活用の実践についてお聞きしました。

 

earthcampus株式会社の佐藤涼介氏のトークは、会場内に隠れている4匹の「アースくん(会社ロゴに描かれたキャラクター)」を参加者と一緒に探すところから、明るい雰囲気でスタートしました。

 

佐藤氏はビジネスコンサルティング会社を設立後、ビジネスに関する相談を受ける中で「事業計画も大事だが、デザインがそれを凌駕する」という体験をしたことから会社を売却。8年前にearthcampus株式会社を設立されました。

「ビジネスを、アートに。」というミッションを掲げる佐藤氏が考える「クリエイティブ」とは、「想像(イメージ)を創造する力(実行)」だといいます。「非連続な成長と課題解決していくスピードが求められている」時代の中で、earthcampus株式会社は、デザイン的マインドとビジネス的マインドの二軸で事業を進めているところが特長であると佐藤氏は語られます。そして、佐藤氏が考えるブランディングとは「約束」。関わるすべての人との約束を守ることが大切だと話されました。

次にearthcampus株式会社が携わったクリエイティブ活用の事例について話されました。

愛媛FCの事例では「変えずに、変わる。」こと。

開晴亭や京町家を再生したサウナ施設の事例では「メディア戦略」について。

佐藤氏から参加者へ「クリエイティブときいて最初にイメージするものは?」「クリエイティブに関して今、困っていることは?」という問いかけもあり、会場が一体になる中、トークが進行しました。

 

 

(earthcampusオリジナルカップでお茶をいただきました)

 

続いて、株式会社ツクリエの鈴木英樹氏から自社のクリエイティブについてお話しいただきました。ビジネス支援、起業家支援、クリエイターのコミュニティ形成などを行っている株式会社ツクリエの事業紹介の中で、鈴木氏は「おやじキャンプ飯」や「お通り男史」など、支援先との協業事例を挙げ、「事業を共にすることが究極のビジネス支援である」と語られました。

次に、自社がクリエイティブへ投資する理由は「外見をよく見せる」「内面を磨く」「営業にみせない営業」の3つであると話されました。たとえば、オフィスへの投資は生産性向上と求人を目的に行っていること、自治体への調査を元に作成した「起業支援白書」はあえて自由なダウンロード(無料)を可能とし、自社のブランディングを目的に行っていること。社内ではミッション・ビジョン・バリューの共有のために、全社員が参加するワークショップを行い、自分が働く会社を自分たちでどう働きやすくするかを考える機会をつくり、社員の内面にも投資しているそうです。

自社のクリエイティブについては「ツクリエって○○だよね」を戦略的にどうつくっていくかが大切だと話す鈴木氏。クリエイティブへの投資は、例えるなら「覚せい剤より漢方薬」、すぐに効果が出る(=売り上げが上がる)わけではないけれど、投資することでじわじわと資産ができていくという考え方を語られました。

 

 

最後に、株式会社大西常商店の大西里枝氏からお話しいただきました。

「大西常商店」は大正2年創業の扇子メーカーで、創業112年目の老舗です。時代に合わせて様々に変化をすることで続いている事業こそ、まさにクリエイティブであると大西氏は語ります。

元々は日本髪の元結(もっとい)の事業が洋装化により成り立たなくなり、元結と原材料が同じで卸先も同じという強みを活かして事業転換したことが、現在の扇子メーカーとしての始まりだそうです。さらに、近年、住環境の変化から扇子の売り上げが低迷する中で、扇子の骨に使う竹が香りや油分を吸いやすいという特徴に着目し、その強みを活かし、新しくルームフレグランスを開発された経緯についてユーモアを交えて話してくださいました。

次に、「菖蒲打ち」や「いけずステッカー」などで話題を呼んでいるSNSについてのお話では、特にXでの発信をメインにして、扇子メーカーでありながら扇子のことはほとんどつぶやかないとのこと。見せたいところをあえて見せずに、京都の風習や習慣を伝えることで大西氏自身や京都のファンを増やし、扇子を軸に京都の文化を伝えていく方向を目指されているそうです。

 

 

 

後半のインタラクティブセッションでは、スマートフォンで参加できる投票&意見収集ツールを活用し、登壇者と参加者、双方向のセッションを行いました。

「クリエイティブに投資できていますか?」

「自社の課題は?」

「登壇者への質問は?」

など、参加者のみなさんに質問が投げかけられました。

 

 

自社の課題は「とにかく何かがださい」!

参加者から寄せられた「“とにかく何かがださい”のが自社の課題である」との投稿に、佐藤氏は愛媛FCの事例を挙げながら「初めはこう思われている方がほとんど。自虐的で自信がないから発信ができていないことが多いが、外から見るとすごいところが実はたくさんある。見た目の話よりも、その事業が誰のための何なのかが重要。“ださい”は魅力になりうる。」と伝えられました。

また、佐藤氏は、自社がオフィスへ投資したことで、求人への応募が毎月20名以上あることから「オフィス投資は人を呼ぶ」とも語られました。また、人材育成が課題であるという声には、「若い世代はiPhoneで自ら発信することが当たり前の世代。教えるのではなく、若い世代に聞くことの方が重要。」と思いを語られました。

 

 

 SNSは「共感」が重要

「SNSで発信するときに意識していることは?」という問いに対し、大西氏は「共感してもらう仕掛けをつくること」の重要性を語られました。大西氏が発信のメインとしているXは「かわいそかわいい」が共感を得やすいとのこと。「京都の老舗おかみ」というイメージとのギャップを出せるかが重要であり、くだけつつも、だらしなくないことが共感を得るポイントだとか。応援したくなる仕掛けが大切であるとSNS発信のコツを教えてくださいました。また、「“オワコン”と言われているものをどう盛り上げるか?」という問いに対し、「オワコンであることをネタにしてしまう」ことと回答。一時的に盛り上げることはできても、継続的に盛り上げていくことは難しいため、「軸は大切に持ちつつ、見る方向を変えていくことが現実的」と話されました。

 

 

 クリエイティブな人ってどんな人?

この問いに対し、

鈴木氏は「自分を持っている人」

大西氏は「スーパーポジティブな人。現状をどうにかしようと思う力こそクリエイティブ」

佐藤氏は「感度の良い人。クリエイティブの中枢になる人は圧倒的なパッションがあって、困難な状況でも大丈夫ですよ!と言える人」

と、三者三様でありながら、共通点が感じられる回答が返ってきました。

 

 

 

 

その後も参加者からはたくさんの質問があがり、時間が足りないほどの盛り上がりの中でイベントが終了しました。

 

 

 

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レポート:淳風bizQ 事務局

フォト:坂本優成(earthcampus株式会社)